2012年8月アーカイブ
翻訳・演出:常田景子
「ア・ナンバー」は、2005年に、イギリスの若手女流演出家サーシャ・ウェアーズ演出によるtpt公演の上演台本として翻訳したものです。
翻訳したあと、サーシャと打ち合わせをし、リハーサル中にも話し合って改訂した翻訳で上演しました。
小林勝也、手塚とおるさん、お二人の熱演する本番の舞台を観ていて、原本の英語の台詞より分かりにくくなっている部分があるように感じ、いつかもう一度翻訳をし直したいと思っていました。
この戯曲の内容にもっと迫りたいと思ったのです。
今回のワーク イン
プログレスでは演出という立場から、俳優とともに直接、この戯曲を探っていきたいと思っています。
この戯曲は、人生について、親と子について、人間のアイデンティティについて、などさまざまに考えさせられる作品であり、「人間が相手の場合、決してリセットできないことがある」ということを強く感じます。
それができると思った男が巻き起こした悲劇ですが、読めば読むほど、前には気づかなかったことに気づいたり、さまざまな解釈ができるので、みなさんと意見を交わして核心に迫っていきたいと思います。
tpt50『A Number』は2005年ベニサン・ピットで上演しています。
「エンジェルス イン アメリカ」の作者トニー・クシュナーが
“現在、英語圏で最も偉大な劇作家”という、
キャリル・チャーチルの問題作を上演するにあたって、
翻訳:常田景子 演出:サーシャ・ウェアーズ(イギリス)美術:礒沼陽子
照明:西川園代 音響:長野朋美 という世界の現代演劇シーンの第一線で活躍する
女性のクリエィティブチームが組まれ、
小林勝也、手塚とおる2人の男優によって演じられました。
『A Number』では、切り詰められた簡潔な文体に豊富なイメージが散りばめられ、
舞台設定は変化しません。とても大きな想像力が要求されます。
今回のwork in progressでは、
はじめに、“舞台で真に生きている身体、言葉”を獲得するためのグループワークによる
エキササイズ。
それから、いくつかのヴァージョン(男2人・男3人・女2人etc.)のプロダクション別に
リハーサルするというプロセスを予定しています。
tpt夏のワークショップ第2弾、
キャリル・チャーチル作『ア ナンバー』by常田景子
8.20スタートします。
常田景子さんは、
7.29に打ち上げた『Cuchulain Cycle 3/5』work in progressでは、
『鷹の泉』『バーリャの浜辺』『エマーのたった一度の嫉妬』
3作の翻訳家としてばかりでなく、ニューヨーク、ソウルで活躍する
作曲家Giheieh Leeの劇中の難曲を訳詩、ピアノ演奏、さらにシンガーとして
美しいソプラノで歌い上げるという獅子奮迅の活躍で、
マルチな才能がひときわ輝きを放っていました。
文学座研究所、夢の遊眠社、NOISEなどで女優としてのキャリアをつみ、
現在、第一線の翻訳家として高い評価を獲得している常田景子さんが、
『A Number』では演出に挑戦します。