『プライド』について

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tpt 81『プライド』の稽古が始まって1週間と2日が経ちました。出演者4名の小さなカンパニーで日々テーブルを囲み、役の深層心理を探り、物語を明確にしていくために本読みを続けています。

この劇は2つの時代を往復していくラブストーリーです。両時代にシルヴィア、フィリップ、オリヴァーという3人の人物が登場しますが、同一人物ではありませ ん。これをそれぞれ馬渕英俚可さん、須賀貴匡さん、山口馬木也さんが、その他3人の男の役を谷田歩さんが演じます。ウィットとユーモアに富んだ台詞、感情の機微やうねりが見事に表現される会話運びによって、1人の俳優さんのいろいろな顔が見られ、さすが俳優が書いた戯曲だなあと、まだ本読みの段階ですが、聴いていてうなってしまいます。

こちらによれば、作者のアレクシ・ケイ・キャンベルさんはアテネの生まれ。お父さまがギリシャ人、お母さまがイギリス人で、ご自身はアメリカのボストン大学で英米文学を学び、その後イギリスの演劇学校で演技を学ばれたそうです。長年、俳優として活動したのち、2008年、ロンドンで先鋭的な新作を長年発表し続ける名門劇場、ロイヤル・コート・シアターで『プライド』を発表し、イギリス演劇批評家協会賞の新人劇作家賞を受賞、作品もローレンス・オリヴィエ賞(Outstanding Achievement in an affiliate theatre)を受賞しました。

『プライド』は2010年にニューヨーク/オフ・ブロードウェイでも上演され、その後、アメリカ各都市やドイツ、スウェーデン、ギリシャなど、世界各地で上演が相次いでいます。

『プライド』についての作者のコメントを紹介しておきます。


──『プライド』はあなたの処女作で、2008年にロイヤル・コートで上演された後、様々な賞を受賞しました。まず、何にインスパイアされてこの劇をお書きになったのか、教えていただけますか?

スタート地点となったのは、"性の革命"を挟んだ二つのまったく異なる時代において、ゲイであるということは何を意味するのかを探求し、比較、対比してみたかったということです。まず考えたのは、1960年代、1970年代に社会や文化が劇的に変化したこと、特にその変化がゲイ・アイデンティティというものにいかに影響したかということです。が、考え始めて気づきました──いろんな意味で、今日存在しているものというのは、それ以前に消滅したものに対する非常に極端なレスポンスなのです:内密から公然へ、暗黙から露骨へ、すべて言外で語られていた状態からすべて過剰に語られる状態へ、抑圧されていた状態から すべてを当然とする状態へ。そこで私は、二つの異なる時代を比較するだけでなく、そのつながりを探り、遺産という感覚を探求しようとしたのです──一つの世代が前の世代から自己という感覚をいかに受け継ぎ、それを捨てて、自分たちだけの感覚を見つけようとするのかということです。最終的に私は心のどこかで、大きな変化をもたらしてくれた人々へのオマージュとして、彼らが何と闘ったのかを記憶しておきたかったのでしょう。彼らは偽善と、憎悪と、抑圧と闘ったのです。それが重要な部分でした。

── この作品について、読んだことのない人、観たことのない人に、あなたならどう説明しますか?

『プライド』は、人物たちが自分たちを追い立てる様々な力について、そこに何があるのかを発見しようとする劇です。そしてシンプルに言えば、ラブストーリーです。

(引用元)


アレクシさんは間もなく来日され、『プライド』日本初演の初日をご覧になる予定です。

明日からいよいよ立ち稽古に入ります。

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このページは、tptが2011年11月24日 11:46に書いたブログ記事です。

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