実在したとされている「袴垂」。

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「袴垂れはどこだ」の題名通り、今回の物語は「袴垂れ」なる人物が関わって参ります。
学生時代に国語の授業で習った方も多いかもしれません。
そう、「袴垂と保昌」というお話です。
当時武名が高かった藤原保昌から身ぐるみをはごうとした袴垂が、
逆に保昌より施しを受けてしまうというお話。
袴垂が保昌の弟である藤原保輔(実在の人物で、大分悪い人だったそうな)と同一人物であるという説はここから来ているとか。

他にも「袴垂、関山にして虚死にして人を殺す語」なんてのもあるそうです。
文字を見る限り物騒な感じがしますが、内容もそこそこ物騒。
道端で真っ裸で死んだふりをしている袴垂に不用意に近づいた武家の男が隙を突かれて、
殺されてしまうというもの。

「袴垂」は二つとも共通して凄腕の盗賊として描かれていますが、劇中では、

「虎よりも猛き苛政に苦しむ村の人々を救うであろう」

という義賊的な扱い。
石川五右衛門や鼠小僧みたいなものですかね。
ただどうやら史実として彼等が盗んだ金を貧しい人々に分け与えたという証拠は無く、
後に歌舞伎等の創作過程に於いて、
アンチ権力のヒーロー像となっていったと考えられているようです。
ちょっと残念なお話ですな。

世界中の様々な情報が飛び交う現代だからこそ、

「そんな素敵な泥棒いるのか?」

なんて想像も出来るのでしょうが、
交通機関もろくに発達していなかった昔々ではまた捉え方も違ったことでしょう。
ましてやそれを聞いたのが、

「虎よりも猛き苛政に苦しむ村の人々」

であったらどうなるか?
貧しい寒村にやってきた旅の坊主が村人銘々に「義賊・袴垂れ」の話を残し、
死んでしまうところから物語が始まります。

こでら

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このページは、tptが2011年11月 7日 09:49に書いたブログ記事です。

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