Bitte, bitte, bitte, bitte, bitte -
TPTポスト・ベニサン時代の幕を開ける『醜い男』は、これでもかと言うほど抱腹絶倒のコメディです。ほんとうに。稽古で同じシーンを何度も見ているのに、繰り返すたびに思わず吹き出してしまうような台詞ばかりです。
ですが同時に、この作品はドイツ演劇らしい、痛烈な社会批判をともなったお芝居でもあります。
昨日、ペーターリヒトというドイツのアーチストの歌詞を、トーマスが紹介してくれました。
頼むから、セックスはもう見せないで
頼むから、二度と、金輪際
商品にくっつけないで
頼むから、素肌はもういらない──お尻もいらない
これを読んで、去年、ある巨大な資本主義国家へ旅行したときに某ブランド店の前で出会ったシュールな光景を思い出しました。その店先には、それはもう世にも美しい男の子が裸で立っているのです──「私たちの服を着れば、こんなに素敵な顔と身体が手に入りますよ」とでも言わんばかりに。もちろんジーンズだけは履いているのですが、彼の光り輝く笑顔と悩殺ボディに道行く人々は魅了され、店に吸い寄せられていきます。裸を広告にして服を売る! ここまで来ると、次はどんなアイデアで商売をするのか楽しみです。資本主義というのは、人間の性欲のおよぶかぎり、どこまでも拡大していくものなのかしら──世界というのは、品のないものです。僕としては、それも結構楽しんでいたりするのですけれど。
そう言えば、僕もそこで買い物をしてしまいましたが、おかげで僕の顔や身体がより一層美しくなったということは、どうやらないようです。
あ